《辻占福寿草の中紙の解釈について》
お正月にご家族の皆様で開けてみて「これは・・・?」「こんな意味かな?」
「こういう意味もあるね。」などと首を傾げたり、笑いを誘ったりして
いただけたならと明治時代に書かれました「なぞかけ本」の文章を
そのまま使わせていただいております。
「辻占」という江戸時代から伝わるこの菓子について、この菓子の起源を
考えますとちょっと難しいもの、金沢弁そのままのもの、艶っぽくて子供には・・・、
などございますが、大人の洒落や言葉遊びと解釈でお楽しみ下さい。
仲間どうしでナゾの解き合いなんかもお正月の一興かも知れませんね。
よくお問い合わせをいただく物につきまして解説をさせていただきます。
諸江屋の先々代や先代から私が教えてもらった事で、違った解釈も
有ろうかと思います。
・はやくる
糸巻きの絵がございまして、金沢弁では糸をたぐる事を
「糸をくる」と言います。
糸を早くたぐれれば楽ですし、仕事が早く終わるので良いと解釈しております。
・なによりごすき
松茸の絵が描かれていて、ちょっと艶っぽい意味も隠れています。
・ろんにかち
討論に勝って商品にお酒を貰って・・・と解釈しています。
・ひろげておるぞ
貝は焼いても煮ても食べ頃になると口を開けます。
また艶っぽい意味も隠れてます。
・こしぬけるほど
和ばさみが描いてあって、道具はこしが抜けるほど大切に。という意味です。
・ねてはもうかる
寝ていても儲かるのは理想ですね。
明治期の遊郭も現しているのではないでしょうか。
・ままになりたい
枡に入った米がお釜で炊かれてご飯(まま)になる。
美味く(上手く)なれば・・・
・とてもごすき
かぼちゃの絵です。女性の好きな物のひとつにかぼちゃがありますが、
少し揶揄を込めて「ご」を付けているようです。
・りんきもこいぞ
りんき(やきもち)の炎と鹿の角を掛けています。
・いさぎよい
武士の潔さを描いております。
・つごうがよい
そろばんに合う。勘定が合っているという意味です。
・志めるとよい
太鼓は紐を締めると音が良くなるという意味です。
・きてほしい
「かっぱ」の絵ですが、着て欲しいという意味と格好良い人に
来て欲しいの意味を掛けています。
・くちをすうて下んせ
水を引いた管です。
吸えば水が出ると言う意味と「キスして下さい」を掛けているのでは・・・
・おもいがよい
漬物です。石(意志)が重いほど良い。
・てんがはれての
笠と雨傘の絵です。雨が止み晴れ上がって良かったという意味では・・・
・にぎやかな
旗さしものが上がって戦勝祝いでしょうか。賑やかな様子です。
・ほれたなか
臼とかんなが描かれています。彫れた仲とのかけことばです。
・むねに志っかり
ひょうたんを下げる紐はくびれにしっかりと結ぶと言う意味。
・わって下され
貝か石が描かれているようです。割ると良いことがあるような・・・
「殻を破る」とも言いますね。
・ぬしはがなれん
すり鉢とすりこ木が描かれています。どちらが無くても役に立ちません。
相性ピッタリ、身を削り役に立つ・・・・・
・もうよいぞ
「飲みごろですよ」「飲み過ぎですよ」どちらにも解釈できますね。
・よくよくきめた
蒸籠を作っているのでしょうか?しっかりはまっている様子です。
・かならずおいで
下足を揃えて「いってらっしゃい」。
無事に帰っての願いを込めているのでしょうか。
・ぜんハいそげ
善は急げと読んで下さい。
・志んからよい
ロウソクの芯が太くて良いロウソクだと明るく長持ちする事から、
人も芯が良いといいと懸けている。
・げいこでのめる
芸妓で飲める。芸者を挙げてドンチャン騒ぎ。景気の良い話しですね。
・ひそひそはなし
枕を並べて男女がひそひそと話しをする様で、夫婦が仲の良い様を
表しています。
・たよりをまつ
「便りを待つ」「頼りを待つ」言葉は掛かっているのかもしれませんが、
音信の無かった友に便りをしてみると、面白い話しが聞けたり
するものですよね。
・だれもすく人
「お多福さん」は見た目は・・・・?ですが、誰にも好かれる働き者です。
・すえひろ
広げた扇が描かれています。末広がりの目出度い絵柄です。
・るす事のだご
留守事は留守番、だごは団子(金沢弁です)
留守においしいことが・・・・・
これまでにお問い合わせを頂いた物を紹介いたしました。
絵と言葉の判断は自由です。その時々の感情や気分で解釈も違ってくるのかも
知れません。言葉遊びとしてお楽しみ下さい。