RSS | ATOM | SEARCH
エルメスの手しごと展 〜その2〜

いよいよ最後のお部屋です。

 

次は、ネクタイ縫製の職人さん。

正方形のシルク地に、ネクタイ2本分がシルクスクリーンプリントされています。

これはロールで刷り上がったものを切った状態。

プリントされたネクタイ型に裁断する時には、数枚を重ねて

いっぺんにカットするのだそう。

 

普通のネクタイでは、裏地を全面に使っていますが、エルメスでは裏地は

大剣と小剣の先の方だけに使い、内側に3枚重ねにしたウールと綿の芯地を

張っています。

そうすると、ふんわりとしたボリューム感が出るそうです。

白っぽい芯地に比べて、ネクタイの生地がずいぶん大きめ。

一度折り込んで芯地を包むことで、少し重さが出て、ネクタイを締めた時に

程良い重さで下がるのだそう。

 

こちらの職人さんは、在宅で、ここからの手縫いの作業を担当されています。

芯地には、"N6"のスタンプがポンと捺されています。

(よく見ると画像の下の方に写った芯地に捺してあります。)

Nは、お宅のある地名のイニシャルです。

人の作り出すものなので、時には何か間違いのあることも・・・。

そうした時に、誰が担当したものなのかがすぐに分かるようになっているのです。

ただ、誰なのかを突き止めて罰するためでなく、一人で作業すると

いうこともあって、気づかずに間違いが癖になってしまうのを

防ぐためなのだそうです。

 

芯地を包み込んだら、1本の糸だけで縫い上げて行きます。

そうすることで、しなやかな使い心地になるそうです。

指定の長さちょうどに収まるように、台には目印の線が引かれていました。

少しづつネクタイの長さも調整しながら、仕上げて行きます。

 

 

いよいよ、エルメスといえば!のスカーフ、"カレ"の縁かがり職人さんです。

色とりどりのカレ。

この最後の仕上げが、この職人さんの仕事。

 

台の上に裏側を上にして張ったスカーフの端を、くるくるっと巻き込んでから、

シルク糸を使って、だいたい1cmくらいの間隔で巻き縫いして行きます。

縫い目が表に出ないように、巻いた縁がつぶれないようにふんわりと。

最初の玉止めはせず、最後も玉を作らずそのまま針を抜いて、

布端に巻き込んでしまいます。

新しく糸を足すときにも、ほどけないように数針分同じところを

縫ってから縫い進めます。

そうすると、スカーフの端のどこを触っても、玉止めのゴロっとした感触が

しないからなのだそう。

そんなささいなところにも拘りが感じられます。

ちなみに、1枚のスカーフの縁をかがるのには、45分程かかるそうです。

 

一番最後の仕上げは、角の処理。

伸びやすい綾織の生地なので、きちんと90度に仕上げるのは難しいのだとか。

角の嵩張る生地は、チョキンとハサミで切り落とします。

角は巻いた後、針でこすってシャープに。

美しく仕上がっています!

 

 

そんなスカーフをプリントするのに欠かせないのが、

シルクスクリーン製版の職人さん。

大きなタブレットを使って、デザインデータを色別に分解します。

 

デジタルだからといって、簡単に分けられる訳ではなく、

タッチペンで、細い輪郭線をトレースしたり、濃淡やぼかしなどの効果も

付け加えて行きます。

 

例えば、このカラフルなデザイン、一体何色使われているのでしょうか?

ずいぶん多そうです。

シルクスクリーンの版は、1色につき1版作ります。

だから、30色使われたデザインなら、30色分の版に分ける作業が必要になります。

 

 

版が作られたら、シルクスクリーンプリント職人さんの出番。

真っ白なシルク地を台に張って、フレームに張られたメッシュ状の版を乗せます。

1色目のインクを端に乗せて、ゴム製のスキージーで刷り込みます。

インクは、版のメッシュを通ってシルク地にプリントされます。

それが終わったら、また次の版とインクを使って・・・と同じ作業を

デザインに使われた色数の分だけ繰り返して行きます。

 

たくさんのインクの容器が並んだ棚。

なんだか職人さんがバーテンダーに見えて来てしまいました。(笑)

"人を酔わせる"という意味では、共通しているのかも!?

 

KITTEの会場は、これでおしまい。

一流の職人さんの仕事が目の前で見られて、質問にも答えてもらえるし、

運が良ければいくつかは体験もさせてもらえます。

いつまで眺めていても飽きないので、時間さえあれば1日中見ていたい!

本当に入場料無料でいいの?と思うくらい、贅沢な時間でした。

 

それに、職人さんもスタッフの方々も皆、素敵にカレを巻いているのが

印象的でした。

しかも、誰一人として同じ巻き方の方が居ないのです。

それぞれがさり気なく巻きこなしている姿を見ていたら、

自分もカレが欲しくなってしまいました。

 

興奮さめやらぬ気持ちで、このままジェイアール名古屋タカシマヤ3Fの

エルメスのお店へ!

もう、何かしら買って帰りたい!!というのもやまやまですが、

残念ながらそんなご身分ではありません。

名古屋会場では、タカシマヤのエルメスで「サンルイ ペーパーウェイト展

2017」を開催中。

こちらで、クリスタル職人さんの仕事を360°VR映像で見られるのです。

勇気を出して、ラグジュアリーな空間へ足を踏み入れてみると、

お店の右奥に、美しいガラスのペーパーウェイトが並んでいました。

直径10冂の球体の中に、細かな花びらが重なり合う花が咲いていたり、

ビーズを敷き詰めたようなカラフルな世界が広がっていたりと、

眺めていると眩暈を起こしそうな細工の数々・・・。

すると、スタッフの方がVRの案内をしてくださいました。

椅子に座ると、エルメスのオレンジの紙箱から取り出されたのは、

VRに皮脂が付かないように、目元に着けるマスク!

横長に穴が空いたそれを目にあててから、VRのマシーンをつけます。

広い工房の中で、職人たちの働く様子が、まるでそこに居るかのように

感じられました。

吹き竿の先に溶けたガラスを巻き取る作業、竿に息を吹き込みながら回して

ガラスを膨らませる作業など、それぞれの作業を専門の職人さんが

分担しているそうです。

 

 

見応えたっぷりの今回の展覧会でしたが、日本での開催は

「手仕事やモノ作りについてあらゆる観点で理解の深い国だから」という

理由なのだとか。

なんて嬉しいコメントなのでしょう!

 

とにかく、まだ見に行っていない方は是非!!

エルメスファンでなくても、モノ作りに興味のある方は存分に楽しめますよ。

 

 

そういえば、夏の終わりに「ツイリー ドゥ エルメス」という新しい

フレグランスが発表されたのですが、タカシマヤではコスメフロアを

通る人々に、香りを吹きかけたあるものを配っていました。

普通なら、ムエットやリーフレットだと思いますが、

エルメスでは、ロゴ入りのあの茶色いリボンだったのです!

エルメス、とことんお洒落だなぁと感心していたところに、今回の手しごと展。

すっかりエルメスにハートを掴まれてしまいました。

author:スーベニイル, category:おでかけ, 15:26
comments(0), trackbacks(0), - -
Comment









Trackback
url: http://blog.souvenir-gifu.com/trackback/1185934